FXの損切り、利確において悩みというのは大きく分けて以下の4種類しかありません。
- 損切りが早すぎてしまう
- 損切りが遅すぎてしまう
- 利確が早すぎてしまう
- 利確が遅すぎてしまう
この4種類の失敗を全部潰せば、基本的には利確と損切りはだいぶうまくなるわけです。
トレード結果に影響を及ぼす順番は「2→3→4→1」になります。また早急に改善しなければならないのは「遅すぎる損切り」と「早すぎる利確」だけで、残りはそこまで影響がありません。
いますごい当たり前のことを話していますが、当たり前のことをできていないからトレードで失敗するんですね。
早すぎる損切り
早すぎる損切りというのは「いち早く自分の想定外、過ちを認め、資産を守るためにすぐさま撤退した」ということであり、大切な資産を守るための行動であるから全くが問題ありません。
損切り貧乏という”損切りが早すぎて、すぐに損切りにひっかかってしまい、損がどんどん溜まってしまう”という現象があります。
しかし、損切り貧乏に陥る原因のほとんどが損切りラインが厳しすぎるというよりも、利確幅が損切り回数に見合っていないというのが原因なのです。
損切りが早すぎるということは、基本的には 損小利大の手法。損切りは多いけれども、1回当てたら利益は大きいというコツコツドカンという手法なわけです。
このドカンと取れてないからトータルマイナスになっているわけで、損切切り貧乏というのは、’損切りでは利確が早すぎる”ということに問題が帰着します。
遅すぎる損切り
4つの中で最も改善しなければならないのが遅すぎる損切りです。
損切りが遅すぎることの原因には以下の2つが考えられます。
- 適切なリスクリワードが設計できてない(手法の問題)
- 損切り条件が曖昧である、もしくは所定の損切りラインを守れていない(マインドの問題)
損切りが曖昧だったり、事前に決めていた損切りラインを守れないのは、論外です。いわゆるトレードに対する精神面やエントリールール面の下準備ができていない状態で、その状態でトレードに挑むこと自体が不適切となります。
よって、遅すぎる損切りを解消するには、「エントリールールを厳格に定め、決めた場所で損切りを徹底する」しか解決策はありません
早すぎる利確
早すぎる利確というのは、エントリー予測の時点で、方向性もあっていて自分の思惑通りに動いているのにも関わらず、自分で利益を減らしている行為となります。
含み損と含み益が出ている複数のポジションを持っている際に
「含み損が出ているポジションの損失を埋めるために、含み益が出ているポジションを早めに閉じる、そして含み損が出ているポジションは塩漬け」という投資判断をとるトレーダーが散見されますが、これははっきりって最悪です。
思惑通り動いているポジションを捨てて、わざわざ外れている方に注力してしまっているからです。
早すぎる利確を治す方法としては、最低限の利益を確保しながら大きなリターンを狙う「2段階利確」がおすすめである。
2段階利確の方法については、以下の「ビビリさん向けFX利確&損切りルール」を参考にしてほしい。
また、早すぎる利確の例外として、事前に利確ポイントを定めていて、利確後に伸びてしまったという場合に関しては全く問題がない。あなたのトレードは事前に立てたシナリオ通りに進み、そのトレードは完全にうまくいっているからだ。
遅すぎる利確
遅すぎる利確は、早すぎる利確と遅すぎる損切りと比べるとパフォーマンスに与える悪影響は少ないです。
遅すぎる利確の最大のリスクというのは、”最大含み益よりも目減りしてしまう”ということですが、強いトレンドが発生している最中にどこでトレンド終わるか、天井になるかを知るのはあまり現実的ではありません。
天底の形成には大抵の場合、高値更新の幅が狭まってきたり、大きな切り返し(アウトサイド、包み足の発生)が発生したり、なにかしらのサインがチャート上で観測できることが多い。
それらのサインをみていて「このトレンドそろそろ終わる可能性があるな」というポイントと、最高値までには当然ラグがある。最高値をつけている段階では、「まだまだ上がるぞ」といった値動きになっていて、天底の形成サインは出ていないことが大半だからだ。
含み益が出ているということは、シナリオ通りに動いているということであり、遅すぎる損切りによって結果として含み益が目減りしてしまったとしても、自分の思惑通りのトレードができたことには変わりがない。
損切りが遅すぎることによってパフォーマンスが低下している場合は、”天底のサインに気付けていない””トレンド転換サイン”に気づけていない”ということなので、ローソク足からチャートの強さ、勢いを読み取る練習をする必要があるだろう。
実践で使いやすい決済戦略として「ツープラスワン戦略」を紹介します。具体的な戦略は以下の通り。
- 事前にリスクリワードを決め、できるかぎり動かさない
- 想定外に備え、最低利確ラインを用意する
- 損切り幅はなにがあっても動かさない
平たくいうと、「理想の利確ラインとなにがあっても臨機応変に対応できるように最低限の利確幅ラインの2種類、絶対に動かさない損切り幅を事前に決めておく」という決済戦略になります。
ルール1:リスクリワードを決め、できるかぎり動かさない
”事前にどこで利確と損切りをするのかを決めておく”ということは、恐怖心に負けないトレードを行うための鉄則です。
利確損切りラインが事前に決めないと、”勘”や”感覚”によるトレード、また感情がこもりやすくなってしまい、論理的なトレードがしづらくになってしまいます。
もちろん熟練したトレーダーが、経験が積み重なった”勘”に基づく感覚トレード、雰囲気トレードを行う分にはなんら問題ありませんが、トレードに恐怖を感じている段階の初級者トレーダーが自身の感覚に任せてトレードをおこなってしまうと、勘が大抵裏目にでて、目も当てられないトレード結果となります。
また事前に利確&損切りラインを決める時は、リスクリワードが最低でも”1:2.5以上”を確保しておくことが望ましいでしょう。
今回のリスクリワードは、あくまで事前に決めた理想のリスクリワードであり、実戦では不測の事態によって少し利確幅が狭くなることが予想されることから、広めに設定しています。
参考:FXで利益を出すためのトレード戦略は、大まかに以下の3つに分けることができる。
- 勝率は高いが、1回あたりの利幅は小さい(勝率重視型)
- 勝率は低いが、1回あたりの利幅が大きい(高リスクリワード型)
- 勝率が高いかつ、1回当たりの利幅も大きい(両立型)
3つ目の両立型が一番理想的ではあるが、そうそう存在しないため、現実的には1番目か2番目のどちらかで利益を上げることになる。
勝率重視戦略は、主にスキャルピングで多用され、1回あたりの利幅が少ない分、リスクリワード戦略と比べてトレード回数が増加する傾向がある。
むやみにトレードを高頻度で行うことは、資金感覚の麻痺、思わず熱くなってしまうのに繋がりかねないため、トレード経験が浅い未熟なうちには避けることが望ましい。
ルール2:想定外に備え、最低利確ラインを用意する
先ほど決めた利確損切りラインを守り、事前の想定通りにチャートが動けばベストとなります。
しかし、実際にエントリー後に投機筋の仕掛けなどによって、相場状況が急変してしまうこととというのは少なくありません。
教科書通りの王道的なトレード手法では「不測の事態があったときには、すぐ利確ないし、損切りしなさい」とされていますが、トレードというのは、常に想定外の連続です。
想定外が起こるたびに利確と損切りをしていたら、利確ラインも損切りラインも曖昧になってしまい、結局何を根拠にどんなトレードをしているのかさえ、見失ってしまいます。
不測の事態があった時にも、根拠があり、恐怖に支配されないトレードをなお続けることができる方法として有効なのが、”第2の利確ライン”を事前に明確にしておく方法です。
第2の利確ラインは、リスクリワードを基準に最低限の利確ラインを事前に決めておくようにしましょう。
エントリー後、利確ラインに達するまでは、何があっても利確してはいけません。
利確ラインに達した後は、基本的には事前に決めた第1利確ラインまで持ち続けるのが基本だが、自分の手法の根拠が消失した場合、明らかに買いと売りの形成が逆転してきた場合などの想定外の事態が発生した場合は、個人の裁量にて利確を行う。
第2の利確ラインを設定する際は、リスクリワード1:1.7〜に設定し、何を持って早期利確に踏み切るのかを事前に決めておくことが望ましいです。(参考:リスクリワード1:1.7の場合は約37%、リスクリワード1:2.5の場合は約29%が損益分岐勝率となる。)
ルール3:損切り幅はなにがあっても動かさない
損失を抱えた時は、通常以上に恐怖を抱え、早く損切りしたくなります。もっと言えば、マイナスで赤く染まった資産状況の画面さえ見たくなくなります。
損失を加えた時に、恐怖によって歪んだトレードをおこなってしまいがちになる、最も決定的な瞬間は「想定外が起こったとき」となります。
【想定外が起こった時の例】
- じわじわ上がると思っていたら、ガクンと下げてしまった
- 思ったより、揉み合ってしまった
- 自分が根拠にしていたチャートパターンが否定された
この「損失+想定外の発生」のダブルパンチは、初心者トレーダーにとって”損切りしたい”という感情が猛烈に煽り、後から冷静に思い返せば損切りすべきでない場面でも、損切りしてしまうなどの短絡的で非合理な選択を行いやすくします。
相場は生き物であり、絶対ありません。
またチャートは教科書通りには動かない。どんなに優れたトレーダーであっても自分が予測できるのは大まかな方向性、波の動きだけであって、”一時的に下がる”とか”ここで急騰する”といった一言一句チャートを予測できるわけではない。
”想定外は、当たり前だと認め、事前に決めた損切りラインは絶対に動かさない”
これこそが恐怖による自滅を防ぐ、最高のソリューションとなります。